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28-06-2024

将来の年金に関する法(Future Pensions Act):使用者への影響とワークスカウンシルの役割に関する最新情報

202371日、将来の年金に関する法(Future Pensions Act、以下「Wtp」)が施行されました。新たな年金制度への移行は202811日までに完了されなければなりません。[1]この期限が迫っているため、本ニュースレターではWtpが定める法的義務について注意喚起させていただきます。例えば、使用者は、移行計画を策定しなければならず、この移行計画はまずワークスカウンシル(ondernemingsraad)と協議されなければなりません。

本ニュースレターでは、使用者と労働者に関する変更と使用者に齎される影響について概略的に説明します。また、ワークスカウンシルの役割についても言及します。

新たな年金制度とは具体的にどのようなものか
新たな年金制度には2つの主な変更が伴います:

年金に関する合意:「確定拠出」のみ
現在、3種類の年金に関する合意があります:確定給付合意(年金額が最終給与または平均給与で決定される)、確定拠出合意(あらかじめ決めた掛け金を年金として運用する)および資産合意(資産額は固定され、年金に変換される)。新たな制度では、確定拠出合意のみが唯一の選択肢となります。可能な限り、年金は個人の投資リスクの選択に応じて積み立てられます。

平均年金拠出制度は廃止され、定額年金拠出制度へ(逓減積み立て)
現行の制度では、平均拠出が認められています。これは、掛金と年金を受給する権利の発生が全労働者において同じか、給与に占める割合が等しいことを意味します。年齢、性別または健康状態による区別はありません。この制度は廃止されます。掛金は年齢に関係なく決定されますが、1年あたりの積立額は異なります。加入者の年齢が高いほど、1年あたりの積立額は少なくなります。

使用者への影響
使用者は、202811日までに労働者と確定拠出合意について合意しなければなりません。また、積み立てられた年金は同日までに移管されなければなりません。これは「転換」(オランダ語で「invaren」)と呼ばれます。立法者は、使用者が期限までに必要なステップを踏むために利用できるマイルストーン計画を策定しました。この計画はガイドラインであり拘束力を持ちません。以下でステップについて説明します。

移行計画
ステップの一つは、使用者が移行計画を策定しなければならないことです。Wtpは、オランダで年金制度を有する全ての使用者に対し、移行計画の策定を義務付けています。この計画は、新たな年金制度への移行の基盤となります。移行計画は少なくとも(i)改正された年金に関する合意の詳細、(ii)既に発生した年金受給権の取り扱い(転換)および(iii)変更による労働者への影響を網羅する必要があります。

202511日(一般年金基金、企業年金基金または産業年金基金の場合)または2026101日(掛金年金機関または保険業者の場合)までに移行計画を準備しなければなりません。

ワークスカウンシル
全ての年金に関する合意は、202811日までに、将来の年金の積み立てに向けて改正されなければなりません。年金制度の改正にはワークスカウンシル(OR)の同意が必要となる場合があります。

通常、ORは産業年金基金による年金制度の改正には関与しません。但し、独自の年金制度を持つ使用者は、OR(または労働者代表)に相談しなければなりません。(労働条件である)年金に関する決定の場合、法律により、ORは同意を与える権利を有します。このような決定には、掛金の決定、上乗せ(指数)の条件、特定の事業者の選択等が含まれます。

年金に関する合意の変更
全ての年金に関する合意は、202811日までに、将来の年金の積み立てに向けて調整されなければなりません。強制的な産業年金基金については、年金基金の理事会が定款や規則の改正を決定します。但し、一般年金基金や企業年金基金と年金に関して合意している使用者は、おそらく(元)労働者との年金に関する合意を調整する必要があります。選択肢の一つは、双方の合意による調整です。但し、判例は、黙示の承諾によっても年金に関する合意を変更できる可能性があることを示しています。「インフォームド・コンセント」があれば、「ネガティブ・オプション」または「沈黙による同意」も有効な選択肢です。また、一方的変更条項があれば、使用者の利益が十分に説得力のあるものである限り、使用者が年金に関する合意を一方的に変更することも理論的には可能です。一方的変更条項がない場合、使用者は、年金に関する合意を新たな確定拠出合意に調整することは合理的であり、労働者は合理的に受け入れるべきであると主張することができます。最高裁判所はIFF事件でこれを確認しました。

期限の概要
労働条件に関する協議
202511日(または2026101日)の期限は、使用者が期限に間に合うよう準備を始める必要があることを意味します。使用者は、202511(一般年金基金、企業年金基金または産業年金基金の場合)または2026101(掛金年金機関または保険業者の場合)までに移行計画を提出しなければなりません。

また、遅くとも202811までに、変更手続きを含む全ての移行手続きが完了されなければなりません。

上記についてご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

[1] 法律では未だ202711日と規定されています。当面は、202811日と見做すことができます。

本ニュースレターは、個別具体の案件に関する助言を目的とするものではありません。個別具体の案件につきましては、別途専門家の助言を求めて頂きますようお願い申し上げます。なお、本ニュースレターの内容については、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。また、作成時には正確な情報であったとしても、作成から時間が経過することにより、結果として最新の法令と異なる情報となることもあり得ます。本ニュースレターに掲載された内容によって生じた損害等については、一切の責任を負いかねます。

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