Peter van Dijk
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この税務アラートは、2023年1月1日以降に適用され、2024年1月1日及び2025年1月1日以降に適用が見込まれるオランダの最も重要な税制の新規則について、国境を超える企業構造及び国際的な企業に関連する規則を中心に、概要を説明いたします。
2022年9月22日付の税務アラートにおいて、予算委員会の審議に向けた法改正案についてお知らせしました。これらの法改正案に加え、国境を越える企業構造に関わる法人所得税の納税者に関連する、民間企業からの過剰な借入に関する法律を含む他の変更も施行されました。
2023年1月1日付で変更された規則
法人所得税 (CIT)
中小企業に対するCIT税率の引き上げ
2022年、オランダのCIT税率は395,000ユーロまでの課税所得に対して15%、それを超える課税所得に対して25.8%でした。今回、395,000ユーロの制限が200,000ユーロに引き下げられ、200,000ユーロまでのCIT税率は19%に引き上げられました。この金額を超える課税利益に対するCIT税率は引き続き25.8%です。
給与税
いわゆる慣習的賃金規則が改正されます。慣習的賃金規則は、自分の会社のために労働を行う実質株主に対して、少なくともある一定の水準の賃金を支払うことを義務付けています。2022年の慣習的賃金は以下のうち最も高い金額と等しい金額でした:
(i) 48,000ユーロ、(ii) 最も類似した職種の賃金の75%、又は(iii) 使用者又は使用者の会社グループにおける最高賃金。2023年の新規則では、前述(i)の金額は51,000ユーロ、(ii)の割合は最も類似した職種の賃金の100%となります。
不動産譲渡税(RETT)
RETT税率の引き上げ
一般的なRETT税率は2022年時点の8%から2023年1月1日付で10.4%に引き上げられ、購入者である個人の主たる住居となる住居用不動産のRETT税率は2%(特定の状況においては0%)です。
個人所得税(PIT)
ボックス3に関する規則の変更
オランダの納税者である個人は、5%未満の株式持分と納税者の住居用として使用されていない(且つ事業者の一部でない)不動産を含む貯蓄及び投資による所得に関して、ボックス3のPITの課税対象者となります。課税基準は、原則として、1月1日時点の公正市場価格から負債(閾値を減額)を差し引いた全ての投資資産価値を基に決定され、納税者は保有する資産の種類に応じて、みなし所得を受け取ったものと見なされていました。判例を考慮して、あまりに多いみなし規定を基に課税所得を決定することは、もはや許可されなくなりました。
ボックス3では、2022年時点で31%だったPITが2023年以降は32%になり、実際に保有されている資産の種類が考慮されて税率が決定されます。株式及び不動産等のボックス3の「その他の資産」のみなし所得は6.17%に設定されています。銀行預金及び負債のみなし所得税率は未だ設定されていません。これらの税率は、実際の収益にできるだけ近づけるため、2023年の年末以降に決定される予定です。2023年の予備的収益率は、銀行預貯金と現金が0.36%、負債が-/-2.57%です。この収益率が変更される場合は、確定申告後の最終評価において収益率の変化が考慮されます。
2024年1月1日以降に適用が見込まれる規則
個人所得税
ボックス2に関する規則の変更
ボックス2のいわゆる実質的利益保有者に関するPITの規則が変更されます。つまり、この変更は(ある種類の)株式の5%以上を自分自身又は特定の人と一緒に保有している個人に関係するものです。2024年、ボックス2に2つの区分が設けられることになる見込みです。課税所得の最初の67,000ユーロは24.5%の税率で課税され、67,000ユーロを超過する課税所得の超過分は31%の税率で課税されます。ボックス2の税率は現在1つのみであり26.9%です。
給与税
域外手当(30%手当又は30%ルーリングとも呼ばれるもの)は、2024年1月以降、報酬基準法(the Standards for Remuneration Act)に基づく上限額(2023年は223,000ユーロ)を上限として計算されます。
条件付源泉徴収税(CWT)
2024年1月1日付でCWTは分配(例えば配当金)に適用される予定です。更に、CWTは特定の租税条約加盟国にも適用されます。
オランダの配当源泉所得税(DWT)上の国外転出時課税制度
現在オランダ議会で審議されている法案に基づき、1956 年オランダ DWT 法(the Dutch DWT Act 1956)に国外転出時課税制度に関する規定が盛り込まれる可能性があります。但し、オランダ政府は本法案を支持していないため、本法案は制定されない可能性が高いです。
パートナーシップの透明性規則に関する変更
2021年にオランダの税務上、オランダのCV(Commanditaire vennootschap、有限責任パートナーシップ)及び外国企業の法的形態が「透明(パートナーシップ自体ではなくパートナーシップの構成者が納税者と見なされること)」又は「非透明(パートナーシップ自体が納税者と見なされること)」であるかを決定する要件の基準を変更するという、非常に批判された法案が意見公募のために公表されました。本法案では、オランダのCVは常にオランダの税制上、透明なものとして扱われることになります。言い換えれば、いわゆる同意要件(パートナーの参画と変更の両方において全てのパートナーの承認を必要とするか否かにより透明性が決定される)は、もはや意味を持たないこととなります。この変更は、外国の有限責任パートナーシップのようなCVに匹敵する外国企業の法的形態の要件にも関係します。このような外国のパートナーシップについても、オランダの税制上、透明なものとして扱われることになります。本法案によりますと、非透明なCVのゼネラルパートナーは、非透明な事業体から透明な事業体へ転換する直前の時点で、当該CVの資産を譲渡したものと見なされることとなります。意見公募の過程で得られた反応を考慮し、本法案は現在見直されており、恐らく変更されます。新しい法律は2023年第3四半期に公表され、2024年1月1日以降適用されると現在予想されています。
オランダの配当ストリッピングに関する規則
近頃オランダの配当ストリッピングに関する規則をより厳格化することを目的とした法案が協議のため公表されました。新規則は2024年1月1日より前に適用されることはない見込みです。
2025年1月1日以降に適用が見込まれる規則
法人所得税
オランダの不動産投資信託制度であるFBIの変更
政府は、2022年の予算委員会の審議で提案された、FBI(fiscale beleggingsinstelling、財政投融資ビークル)はもはやオランダ及び外国の不動産に直接投資することができなくなるという措置について、適用開始日を1年遅らせて2025年1月1日とすることを発表しました。これは、FBIと免税投資ビークル(Vrijgestelde Beleggingsinstelling, VBI)に関する評価報告書に対する政府の回答として発表されたものです。その結果、FBIがオランダの不動産投資から得た利益は、2025年1月1日以降、オランダの法人税の課税対象となります。更に、上記の措置に直接関連する再編成については、2024年1月1日から譲渡税の条件付き免除が適用される可能性があります。
2026年1月1日以降に適用が見込まれる規則
Personal income tax
ボックス3に関する規則の変更
2026年には、課税対象の所得が実際の所得に基づくこととなるボックス3の新制度が導入される予定です。本制度の導入までは、実際の所得と可能な限り類似した一定のみなし規定を基にした経過措置が適用されます。
上記についてご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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