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18-04-2024

オランダでの商品販売:販売モデルの概要

オランダで商品販売することを希望する製造業者や販売者は、様々な販売モデルを検討することができます。このニュースレターは、販売店、代理商、消費者に直接商品を販売する手法(DTC)に関する留意事項と特性に焦点を当てます(BURENのフランチャイズに関するニュースレターはこちら)。

販売店

  • 販売店モデルとは、サプライヤーが販売パートナーに商品を販売・引き渡し(B2B)、当該販売パートナーが最終顧客に自らの名義と責任で商品を販売・引き渡す(B2BまたはB2C)販売モデルのことです。自動車産業など特定の分野においては、従来から販売モデルが非常によく用いられています。
  • オランダの法令は、販売店契約に関して特に規定していません。EU法及びオランダ競争法の規則が適用され、これらの規則は販売店契約の当事者が合法的に合意できる内容を制限してます(BURENのこの点に関する過去のレポートはこちら)。
  • 例えば、サプライヤーと販売パートナーは、最終顧客に対して直接的または間接的に最低価格を決定することを常に禁じられています。競争法に違反する合意は無効であり、これらの合意により会社は競争当局から罰則を科される、または民事上の損害賠償請求を受ける可能性があります。
  • しかし、例外としてサプライヤーは、(1)1つの販売地域または1つの顧客グループにおいて5者を上限として販売パートナーを(排他的に)指定すること、および(2)サプライヤーと販売パートナーの両者が、各々、商品の販売および購買市場において30%未満の市場シェアを有することを条件に、販売パートナーがその販売地域以外で積極的販売を行うことを禁止することが認められています。なお、販売パートナーに割り当てられた販売地域以外での消極的販売を制限することは常に禁止されています。
  • 販売店契約によく見られるその他の条項として、例えば、最低販売数量の確約、最低在庫数量の確約、販売パートナーによる広告(予算)および市場特有の投資に関する確約、販売パートナーによる現地サービスおよび保証の提供、販売パートナーにより実施される活動に関する報告、準拠法および裁判管轄の選択条項、契約解除に関する条項、知的財産権に関する条項、守秘義務に関する条項などがあります。
  • いわゆる「二重販売」モデル、すなわち、サプライヤーが商品を直接且つ販売店を通じて市場に出すモデルの場合、サプライヤーと販売パートナー間の情報交換に関する特定の規則が適用されます。

代理商

  • 代理商モデルとは、固定手数料および/または変動手数料と引き換えに、代理商がサプライヤー(この文脈ではprincipal、本人)に代わり契約を交渉および/または締結する権限を付与されるモデルです。このモデルにおいて、代理商は当該取引に関する経済的リスクを負いません。つまり、法的な観点からは、当該契約は本人と最終顧客との間で直接締結されることになり、本人は最終顧客の如何なる請求に対しても直接責任を負います。
  • 真正な代理商関係は、競争法の制約を受けません。そのため、販売店モデルとは異なり、とりわけ本人は(代理商が対象とする地理的地域と顧客グループを決定することに加えて)顧客に請求する価格を決定することができます。
  • 代理商は、交渉または締結された契約に関して、また活動分野における市場特有の投資に関して、いかなる契約特有のリスクを負担しないか、または軽微な契約特有のリスクに限り負います。これは、法的関係が販売関係とみなされ、競争法に基づく禁止事項(および禁止事項に違反する可能性がある場合に適用される制裁措置)の対象となるためです。
  • オランダ法は、EU指令に基づき、代理商に関する特定の規則を規定しています。これらの規定の大半は(半ば)拘束力を有するものであり、当事者は代理商に不利益となるような形でこれらの規則から乖離することはできません。いずれにしても、明確な書面による合意に基づき、本人と代理の関係を構成することが強くお奨めされます。
  • 代理商として振る舞う自然人は、労働者と多くの共通点があるため、代理商契約において労使関係と見做されないよう留意する必要があります。

DTC/電子商取引

  • DTCモデルとは、製造業者が(消費者を含む)最終顧客に直接商品をオンラインで販売するモデルです。この販売モデルは、経済のデジタル化が進み、実店舗離れが進んでいることを反映しています。DTCモデルの販売者は、全てのアフターフォロー活動や顧客の請求に直接責任を負います。
  • 法的な観点では、電子商取引は「遠隔販売」に該当します。遠隔販売は、複数の EU 指令に基づきオランダ法に導入されている法的規制の相当数の対象となります。遠隔販売について、今後別途のニュースレターで詳述します。
  • まず、これらの規則は、販売者が消費者に提供すべき情報、消費者に対するオンラインでの販売過程において、この情報をいつ、どのように提供すべきか、また、情報が提供されなかった場合の結果に関するものです。例えば、一般的な販売規約は、契約締結前または契約締結と同時に、消費者がその内容を後から確認する目的で保存できる方法(例えばPDFファイル)で提供された場合にのみ適用されます。これらの規則は非常に詳細であり、誤謬の余地は僅かであるため、販売過程を設計する際は遵守の徹底が強くお奨めされます。
  • 例えば、裁判所は、販売者が消費者に対して全ての必須情報の提供義務を履行したかを職権により評価します。販売者が複数の必須情報の提供義務を履行しなかった場合、裁判所は、裁判所のガイドラインに基づき、販売者により提起された代金支払い請求において、購入価格の最大50%を控除します。さらに、民法の観点から、また、違反した義務に応じて、規約や契約が無効となり、消費者の法的解約期間が1年間延長される場合があります。加えて、オランダ消費者当局(Dutch Consumer Authorityは(構造的な)遵守違反に対して(理論的には相当の)行政罰の罰金を課すことができます。実務的には、販売される商品の単価が高い場合(自動車、電動自転車、電子機器など)、および/または販売者が商品を掛け売りする場合、遵守違反から生じるリスクは特に高まります。
  • 次に、EU域内で遠隔通信手段のみを用いて購入手続きを行った消費者は、商品の引き渡し後14日間(いわゆる「クーリングオフ」期間)の間は、幾つかの限定的な例外(使用分の控除、返品費用および限定的な商品カテゴリーの例外)を除き、購入を取り消す権利を有します。このクーリングオフ期間は、幾つかの種類の商品については、制約要因または考慮事項となり得ます。

オランダにおける適切かつ合法的な販売モデルの特定と構築に関するご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

本ニュースレターは、個別具体の案件に関する助言を目的とするものではありません。個別具体の案件につきましては、別途専門家の助言を求めて頂きますようお願い申し上げます。なお、本ニュースレターの内容については、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。また、作成時には正確な情報であったとしても、作成から時間が経過することにより、結果として最新の法令と異なる情報となることもあり得ます。本ニュースレターに掲載された内容によって生じた損害等については、一切の責任を負いかねます。

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