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17-01-2024

2024年に施行されたオランダ労働法の変更点

202411日にオランダ労働法が改正され、多くの点が変更されました。以下に、最も重要な変化点を列挙します。

税務当局が定める自営業者モデル契約の一部廃止
雇用関係評価に関する規制を緩和する法律(De wet Deregulering Beoordeling Arbeidsrelaties)によりますと、いわゆる業務の委託者と受託者たる自営業者(zzp'er)は、雇用関係の税務上の影響について共同責任を負います。すなわち、業務の委託者と受託者たる自営業者は、両者間の契約関係の性質が何であるか、具体的には労働契約関係なのかそれともいわゆる業務委託関係なのかを共に規定しなくてはなりません。これを補助する目的で、税務当局は、業務の受託者たる自営業者と締結される契約書のひな型の例を公開しています。そのようなひな型の例には、業務の受託者たる自営業者に自由に第三者に業務を代行させる権利を認めたものがあります(Modelovereenkomsten gebaseerd op vrije vervanging、以下「代行者指名権付契約ひな型」)。しかし、202411日より、税務当局は代行者指名権付契約ひな型に対する同意を撤回しました。これは、Deliveroo事件において最高裁判所が、業務の受託者に第三者に業務を代行させる権利が認められている場合であってもなおそのような契約関係が労働契約関係を構成する可能性があると判断した結果です。代行者指名権付契約ひな型を用いている会社は、早急に問題となる契約関係を見直し、適宜変更を加えるのがおすすめされます。

最低時給
1969年にオランダは、1か月当たり、1週間当たり及び1日当たりの金額によって算出される法定最低賃金を導入しました。これにより、1時間当たりの最低賃金(法律で定められていない)は、産業又は会社がフルタイムとみなす時間数を基準とすることになり、40時間働く最低賃金労働者は週36時間(又は38時間)働く同僚よりも低い時給を受け取ることとなりました。しかし、202411日に法定最低時給が導入され、この不平等に終止符が打たれました。具体的には、1日当たり、1週間当たり及び1か月当たりの法定最低賃金は、オランダの全ての労働者に適用される一律の最低時給に取って代わられました。202411日以降、21歳以上の全ての労働者の最低時給は13.27ユーロ(グロス)となります。

移行補償金transitievergoedingの上限額の引き上げ
使用者の主導により雇用を終了する場合に通常労働者に支払われるいわゆる移行補償金は、労働者の1か月当たりの賃金と雇用期間の2つの要素によって決定されます。移行補償金の上限は毎年調整されます。202411日以降、移行補償金の上限は94,000ユーロ(グロス)又は1年の給与(グロス)の何れか高い方となります。

通勤手当の非課税上限額の引き上げ
202411日より、非課税となる通勤手当の上限が、走行距離1キロメートル当たり0.21ユーロから0.23ユーロに引き上げられました。法令は、使用者に対して、より高額の通勤手当を非課税で支給する義務を課しているわけではありませんが、使用者はより高額の通勤手当を非課税で支給することができます。

在宅勤務手当の非課税上限額の引き上げ
使用者が労働者に支給する在宅勤務手当が、202411日付で1日当たり2.15ユーロから2.35ユーロに引き上げられました。

老齢年金AOWの受給開始年齢の引き上げ
老齢年金の受給開始年齢が6610カ月から67歳に引き上げられました。2027年以降も老齢年金の受給開始年齢が再び引き上げられます。

(一時的な)30%スキームの縮小
以前は、オランダ国外からの労働者は、一定の条件の下、賃金の30%を上限として税金を支払う必要がありませんでした。202411日以降、この30%スキームはいわゆるバルケネンデ(Balkenende)基準(2024年時点で233,000ユーロ)に順応し、非課税枠は段階的に縮小されます。最初の20ヶ月間は20%の非課税率、次の20ヶ月間は10%の非課税率が適用されます。202411日以前に提出された申請は、移行スキームの対象となります。

問題となる縮小が(部分的に)撤回される可能性があります。抗議の嵐が吹き荒れ、上院は経済的に不利にならない代替案を出すよう政府に求めました。代替案は2025年税制改正案(Tax Plan 2025)に盛り込まれる見通しです。

年金加入年齢を21歳から18歳に引き下げ
将来年金法(Future Pensions Actに基づき、労働者はより早い年齢から年金制度に加入することができます。202411日より、下限が21歳から18歳に引き下げられました。つまり、使用者は18歳以上の労働者に適切な年金制度を提供しなければなりません。

業務に関連する人の移動(「WPN」)に関する報告義務
202471日以降、労働者が100人以上の使用者は、オランダ企業庁(Dutch Enterprise Agency、「RVO」)に労働者の通勤及び業務上の移動について報告しなければなりません。その目的は、使用者が持続可能なモビリティを意識的に選択するよう促し、輸送による温室効果ガス排出を削減することです。遅くとも2025630日までに、2024年分のデータを提出しなければなりません。詳細については、前回のアラートオランダ語をご参照くださいRapportageverplichting werkgebonden personenmobiliteit (WPN) uitgesteld van 1 januari 2024 naar 1 juli 2024.

上記やその他の上記に関連する進展について、常に最新情報をお届けします。ご質問やご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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Epke Spijkerman

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